記憶の屑籠

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祖父江孝男『文化人類学入門』中公新書

興味がある分野があっても、どの本から読めばいいか分からない。そんな人のために書かれた文化人類学の一般向け入門書である。

 

実際に読んでみて、とても読みやすかった。どんな学問なのかというところから始まり、基本的な用語の説明も丁寧だった。例え話も、イースター島や方言(これが一番身近に感じた)などイメージしやすいものを挙げてくれるので助かる。海外の話の後に日本の場合はどうなのか書かれている箇所も多くて分かりやすかった。

 

文化人類学の様々なトピックが書かれているので、自分が興味のある分野を発見・再確認するのに打って付けの本である。私の場合は、アフリカ史を読んだ影響か、アフリカの文化に対する興味が一層深まった。前々からうっすら興味を抱いていた呪術に関しても、やっぱり興味があるんだなと再確認した。また、新たにオセアニアの島々の文化にも興味を抱いた。

 

こうして新たな興味が出てきた時に起こる問題が、「次にどの本を読んだらいいのか」という問題である。しかし、この本はそんな悩みを先取りして、付録として”おすすめしたい参考書”を載せている。概説書はもちろん、本書で触れたトピック全てに関する本がこれでもかというぐらい掲載されている。もちろん私が興味を持った分野に関する本もあった。欲しい本リストを溢れさせる罪作りな付録である。

 

手取り足取り幅広く教えてくれて、しかもその後の対応まで完璧な本なので、文化人類学に少しでも興味がある人にはオススメの本である。